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おすすめ自作小説:The Root – 第13話「チグリス川の中流域にて」①【長編】

(pic from tabisuke)

執筆者:砂糖ツバサさん

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エビーとタイはペガサス号にて、チグリス川の中流域へ移動した。時刻は夜の明ける前であった。このあたりは水の恵み豊かな肥沃の土地で、アッシリアの文明が栄えていった地域でもあった。
夜が明けてあたりを見渡すと、そこには野生の小麦が見つけられた。二人は早速、寝泊りのできる掘っ建て小屋を作ることから始めた。携帯していた石包丁を使って、周囲で見つけられた木々や大小の石を集めては、家を作り上げていった。そして次には、近くに群生している小麦を刈り取っていくことを始めた。

タイは「これなら、パン屋さんができそうだね!」と。するとエビーは「石窯を作らないといけないね…」と、言った。
石窯もなんとか形になり又、小麦から小麦粉を作る石臼も作られていった。
エビーが「パン生地の一次発酵はうまいこといくかなあ…」と心配そうにつぶやくと、「まあ心配ないよ。自然のカビのように、そのうちパン生地にくっついてくるよ。少し気長に待っていればね」と、タイは得意顔でした。

この地でまずは麦畑を作って、長期的な食糧を確保していく――。そのために、麦の種蒔きも行われていった。パンの焼きあがりの方も、だんだんとふっくらしたパンになっていった。それはパンを発酵させる酵母菌が、手元で育て増えていったためであった。
「やるね、タイ!」と、エビーが褒めた。

パン作りも軌道に乗り、その噂を聞いてやって来る人も出てきた。はじめのうちはただでそのパンを食べさせてあげたが、その後、これと交換してはもらえないかと言い出してきた。
チグリス川の河口あたりからやって来た者は、小袋に塩の入っていたものを差し出して「そのパンを、これでわけてはもらえないか」ということにもなった。
ペルシャ湾に面した河口付近では、塩田によって海水から塩を手に入れていた。その会話を耳にしたタイは喜び、その人に少し多めにパンを渡してあげた。

とにかく小麦を収穫してパンを焼き続けることによって、近くから又、遠くからそれを求めていろんな人がやって来るようになった。お金というものがなかった時代、物々交換によってパンという食べ物が多くの人たちに広がっていったのでした。
その食べ物のパンは「アジム」と呼ばれて、口伝えで広がっていった。

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