ペガサス号に乗務員たちが乗船して間なしのこと… 事前には船内の説明は聞いてはいたものの、実際に乗船してその場に立つと皆、はしゃぐ心が沸き立っていた。ダイ船長から、
「ようこそ!ペガサス号へ… ここを我が家と思って、慣れ楽しんでください」との挨拶があった後、しばらくの自由時間となった。皆、テーマパークのパスポートチケットを手にしているようで、浮き足立っていた。
ビシャとエビーとベンは、はしゃぐ心を抑えきれず、自分の休養個室へ急ぎ向かって、操縦フロアから下の階へ回廊を走っていった。
この回廊は円筒形になっていて、そこに幅30センチ程の白線が一本引かれてあった。ビシャが先に進んでいくと、後から来るエビーとベンがなんと、壁に立っているように見えた。この回廊は前述したように、上の階と下の階が中央の階に対して重力の方向が逆転しているため、不思議な空間となっていた。
エビーがポケットからボールを取り出し、それをビシャに向かって転がした。
するとボールは、円筒形の回廊に引かれた白線の中央を、どんどん転がっていった。その白線は重力の方向に引かれてあったので、壁を転がっていくようにも見える。そのボールをビシャはキャッチし、ベンの立っている所に転がした。
「魔法のボールだね!」とベンが言うと、
「魔法の回廊なんだよね…」と、エビーは付け加えた。そして下の階のフロアにある自分用の個室に、ベンは入っていった。部屋はそんなに広くはないが、ホテルの一室のようになっていてトイレもバスルームもあり、落ち着く空間になっていた。ベンは早速、ひと風呂浴びることにした。
「ん…最高、すばらしい!」と独り言を言いながら、リラックスムードに浸っていた。エビーは…トイレを使用した。その壁には注意書きが貼られていた。
『ペガサス号の船内の水は、全て100%リサイクルされています。ゴミや汚物も全て資源として再利用されています。』と。
「すばらしい! ん~最高!」と、これを見てエビーも独り言を言いながら、感動していた。
多目的スペースには高性能の3Dプリンターが設置されていて… ビシャはそれにとても興味津々だった。本物そっくりに作れるこの装置に、
「これはおもしろい、これはおもしろい!」とゲームを楽しんでいる子供のようであった。
つづく
メモ:船内図