一方、ダイとホテは、中国の長江中流域 (武漢あたりの地) に午前3時(丑寅の刻)に、北東の方角(丑寅の方角)よりペガサス号が着陸し、この地で降船した。そして再び北東の方角の空へ、ペガサス号は消えていった。

夜が明けてから二人は、近くの民家を探しに歩き出した。

すると早々に、一軒の家を見つけたので、「この地でともに生活をしたい」と伝えるべく、訪ねてみることにした。すると、その家の主は、快く承諾してくれた。

木を集めそして又、石を拾い集めて、まずは自分たちが寝泊まりできる掘っ建て小屋を作ることになった。

食材集めや食事は共同ですることになり、夜はたき火を囲んでおしゃべりを楽しんだ。

半月ほどしてそこでの生活形態に少し慣れてきたダイは、夕食の団らん時に、自分の思いを話した。

「実は、2年ほど後に大河(長江)を下っていこうと思っている。もちろん小舟を使って、それで…」と、切り出しました。そして、

「その小舟に、この地で作ったお米を積んでいこうと思っている。そして是非会いたい人が、そこで待っているので…」と続けたのでした。

その話を聞いた家の主は、

「わしらでできることは、協力させてもらう。何でも言ってくれ!」ということになった。そして来年の春から、稲作の準備をしていくことになっていった。まずは農器具などを作ることからはじめ、農耕地を整備していった。

併せて、丸木舟を作っていくことも進めていった。舟材となる木を探したところ、直径1.5メートルはある立派な木を見つけることが出来た。早速その木を切り倒して、みんなで家の近くまで運んできた。それから大小の石斧を使って、くり舟と言われる丸木舟を作り上げていくことになった。

便利な道具を使っていく訳ではないので、時間はかかるものの、着実に形が整えられていった。その舟は6~7人乗りで、4か月ほどで完成した。ちょうど春の季節で、舟で大河に漕ぎ出し、釣りを楽しむことになった。そこで、大きな鯉を何匹か釣り上げた。

「やった、やった!」
「すごい、すごい!」

大歓声が上がり、みんな得意顔になった。家の主は、

「今晩はお祝いだ! 立派な舟が完成して、大きな鯉もこうして獲れて…」と鯉の丸焼きを口にして、喜びの会話が続いたのでした。その折に、家の主の奥さんからこんな話もあった。

「半年前に、家に福の神がやってくる夢を見たんですよ。その夢が今、現実となっていることに、とっても驚いているんです」と――。

つづく

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