太平洋を横断しての大航海を果たした船乗員一同は、しばらく宮崎の地にて滞在することになった。

宮崎の現地の人たちの歓迎も受け、親しく交流もはじまった。村の長をはじめとして、村の主だった人たちとの身振りと手振りを使っての交流となった。そして船に積まれてきた米を船から下ろして、村の長に手渡した。加えて、そばの実を少しだったが持ってきていたので、それも合わせて手渡した。

夜の食事には、村の人々が皆集まっての賑やかな宴となった。縄文の土器には、いろいろな食材が煮炊きされていた。その中にそばの実を粉にした『そばだんご』を、特別に作って披露した。このはじめて口にした、そばの実の食材に対して、感動の表現を皆々がしていた。

「うまい! うまい!!」
「ほんと、うまいねこれ!」と――。

みんながそばの美味しさに感動しているところ見ながら、一言ダイはお米にはない、そばのもう一つの長所を追加した。

「このそばの実は、比較的容易に蒔いて収穫がしやすいのですよ。一方の米は、蒔いてから収穫をするのには、少し手間がかかりますね…」。

翌日からは、船を利用しての魚取りをすることになっている。宮崎の地の何人かがその船に交替で乗船して、近海での魚取りに挑戦する予定だ。もちろん船を操縦するためのメンバーは、バルディビアからの乗員一同となり、長江からの同乗者は陸に残ることとなった。

つづく

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