その夜、1万年前の地中海で夕陽を眺めながらの晩さん会が予定されていた。料理に自信のあるフクを中心に、ペガサスの下の階のエリアで、その準備が進められていた。

料理の用意ができ、8人は晩さん会の席に着いた。地中海のおだやかな夕陽を、ペガサス号の船体は受けていた。皆、少し緊張しているおももちであった。オープニングとして、船長のダイ(DAI)よりあいさつがあった。

「今宵は限られたスケジュールの中、ここに晩さん会を設け、それぞれ胸に秘めた話を是非、披露してもらえればと私は思っている。あいさつはこのくらいにして、まずは乾杯といこう!」

テーブルには、昼に釣り上げられたあのマグロが中央に盛りつけられてあった。そして、この時代の大切な食材であるドングリの実を使って、パンやクッキーがバスケットに盛られてあった。ドリップコーヒーも用意され、それもドングリを使って作られていた。塩はもちろん、地中海の海塩が添えられてあった。

皆、テーブルのメニューに感謝いっぱいの様子であった。フクより、

「実は… このドングリの食材は、ダイ船長とホテさんの2人が森へ足を伸ばして、採ってきたものなんですよ!3人が釣りに出ていた時にね…」と、裏話を披露した。改めて「実に美味しいね!」と舌つづみを打った。ホテがそこで、

「森に行ったらね、このドングリの実がいっぱいあるのよ。このドングリの実は、多くの生き物を支えていることを感じさせられました。そして、そのドングリの食材でこんなにも美味しいパンやクッキー又、コーヒーまでも用意してくれたフクさんを中心とした料理スタッフに、私は感謝しています」と。ジュロは、

「ん…もう一杯もらうか!」と、おかわりをした。そして、コーヒーカップを手にしたまま、

「実は… この度のペガサス号でのタイムトラベルに、とても胸が踊っていましたよ。1万年前の古代文明については若い頃から興味があり、長年にわたって研究もしてきました。それが今回、こうして実現していることに、ただただ驚くばかりです」と。それを聞いてビシャも、

「胸が踊っていたのは、私も同じですよ。これからどんなことが私たちを待っているのか、未知の冒険なのでそれは分からないが、今出来ること、その折々のチャンスを積み上げていきたいと思っている!」と、目を輝かせて語っていた。

話もいろいろと披露され… その後、ダンスタイムも行われた。そして晩さん会の最後に近づくと、ダイ船長より挨拶があった。

「今宵はすばらしいひと時となったことに、感謝しています。明日からのそれぞれの地域での冒険の旅(活動)に、一言… オキヲツケテ!」そして、会のお開きとなった。陽もとっぷりと暮れ、月の明かりで地中海は包まれていくとともにサンセットクルーズの団らんはお開きとなった。

つづく