それから1か月ほどして、バルディビアからの大航海の始まった。出航は日の出とともに、大勢の人たちに見送られる中での船出。そして再びこの地へ帰ってくることを船乗員たちは口にしていた。

前回は時間の都合で行けなかったガラパゴス諸島へは少し立ち寄った。 

フク副船長は「やっとガラパゴス諸島に来れました! イグアナもそうですが、やはり、これまで見た事がない生命体も多いですねー。」とご満悦の様子。その後は、太平洋をひたすら西へ西へと向かっていくことになった。

ガラパゴス諸島を過ぎると、南側近くに南赤道海流に遭遇した。この海流は、赤道の少し南側を東から西へ、ニューギニア島の方へ向かっての海流だ。

帆船での航行では、地球規模の海流に沿っての航行がとても重要になる。船上での食料1は主に乾物となるが、海水でも成育するトマトはとても重宝される。時には船上で、魚を捕まえることも――。

太平洋を西へ西への航海が何日も何日も続いた。その間、航行して何日間が経過したのかを把握していくために、太陽が西の水平線に沈んでいくのを眺める度に、船の内側部分に『正』の字を刻みつけた。

そして1ヶ月程の長旅の末、とうとうポリネシアの島々の一つ、キリバスのフェニックス諸島に着いた。

「なんとかここまで来たましたねー!」「そうですねー! なんとか!」とメンバーは口々にしながら大きな安堵とともに達成感を味わっていた。

ホテ船長が「長い船旅となっています。いったん消費した食料の補充もする必要がありますし、みなさん陸地での休息も必要かと思いますので、しばらくの間、こちらに滞在しましょう。」とメンバーに提案した。

「それが良いですねー」「そうしましょう!」とメンバー全員もそれに同意した。

数日後、また引き続き西への航行が始まった。

その先はミクロネシアの島々とフィリピン諸島がある。 今後の予定は、フィリピン諸島あたりからは、日本海流の黒潮に沿って北上し、約束の地である長江の河口(上海あたり)に向かうという航海予定となっている。

つづく

  1. 船の上での食材:船の上での食事では火を使うことができないので、その保存食として肉や魚などを干した物や、クッキーのような焼いた固形物を常備している。 ↩︎