バルディビアから船出して… 何か月経っただろうか。

南赤道海流に乗って西へ西へ、フィリピン諸島までたどり着くことができた。ここで少し立ち寄り、ここからは黒潮に乗って北へと向かっていくことになる。そして目指すは、ダイとホテの待っている長江の下流域(上海あたりの入り江)だ。

海の天候も穏やかで、長江の下流域へは、無事に辿り着くことができた。

岸辺では、ダイとホテが手を大きく振って出迎えてくれた。そして船乗員一同が、上陸下船をした。初めての大航海を果たし… 乗員を囲んでの座談の会がその夜には、大盛り上がりとなった。

食べ物もいろいろと用意されて、身振りや手振りも交えての交流に花が咲いた。そして、これからの予定についても話があった。

次の日にはこの入り江から東に向かって、日本の地(宮崎)を目指すことになっている。その乗員として、バルディビアからのメンバーに加えて、ダイとホテそれに後2人の総員で予定されており、荷物には、長江流域の地で収穫した米を積んでいくことなっている。

ここからの1出は、日の出とともに―― 太陽の昇ってくる水平線に向かって、東への航行となった。

話は少し戻り―― 長江の中流域(武漢あたり)で活動を開始したダイとホテは、ここで丸木舟を作っていた。そしてふたたび、1年をかけて稲作もしていた。その稔りの米を舟に積んで、長江の下流域へ来ていた。

ここで、その舟の漕ぎ手として乗船していた4人は、ふた手に分かれることになった。日本へ向かっていく2人と、この下流域で小舟とともに留まる2人と――。

日本行きの乗員は、九州宮崎の地の中央部あたりへと向かった。その中央部あたりに大きな川(一ッ瀬川)があり、その河口から川を少し上ったあたりに、船を接岸させた。

つづく

  1. [ 船をより安定させるために]
    船の底には航行を安定させるために、たくさんの石が積まれていました。この石を少し下ろしてその替わりに、米を積んでいくことになりました。 ↩︎

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